相続と預貯金口座の名義人(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)
Q.父が亡くなりました。相続人は母と私の2人です。父は生前,母名義の銀行口座に預金をしていました。この預金は遺産分割の対象とされるのでしょうか。
A.家族名義の預金であっても,実質的に被相続人に帰属していたと評価される場合には,その預金は相続財産として遺産分割の対象となるとともに相続税課税対象にもなります。
実質的に被相続人に帰属していたと評価されるかは,現実に出捐した者,口座開設者,通帳,カード,届出印などの管理利用状況,名義人の認識などが考慮されます。
ご質問のケースでも,上記を考慮した結果,実質的に被相続人に帰属していたものと評価されれば,お父様の財産として遺産分割の対象となります。
これに対し,実質的にも名義人に帰属していたものと評価される場合は,お母様の財産ですので,遺産分割の対象にはなりません。
ただし,この場合でもお父様からお母様に対して贈与があったと認められるときには,特別受益として持ち戻しの対象となる可能性があります。
なお,共同相続人間の協議でその預金を名義人の財産として扱い,遺産分割の対象としないことを合意したとしても,実質的に被相続人に帰属していると判断されてしまえば,相続税との関係では相続財産として相続税課税対象となりますのでご注意ください。
(平成25年12月17日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨)
- 2014.01.09 Thursday
- 暮らしの法律相談(中日新聞掲載)
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