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相続と寄与分(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.長年同居して私が療養看護をしてきた父が亡くなりました。私が父の療養看護をしてきたことは,相続の際に考慮されますか。

 

A.あなたが療養看護をしてきたことは寄与分として考慮される可能性があります。寄与分とは共同相続人中に被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献した者がある場合に,このことを考慮せずに相続分を決めることの不公平を是正する制度です。寄与分が認められた相続人は遺産のうちの相当額の財産を相続分以外に得ることができます。

療養看護は寄与分として考慮され得ます(民法904条の2)が,一方で親族間には,民法上互いに扶養すべき義務が課されています(民法877条)。そこで,療養看護は,民法上の扶養義務の範囲を超えるものであって初めて寄与分として考慮されます。

扶養義務の範囲を超える療養看護と認められた事案として,病弱で老齢の母と20年余,同居して扶養し,痴呆が高じて死亡にいたるまでの10年間は常に付添っていた事案などがあります(盛岡家裁審判昭和61411日)。この事案では昼間は常に傍らに付添い,夜間は不寝番をしなければならない状態でした。

親族間の扶養義務の範囲を超える療養看護に該当するには,この事案のように通常,人を雇う必要があるような要看護状態に対する療養看護であることが一応の目安と考えられています。

 

(平成2777日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨)


交通事故と後遺障害の認定(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.交通事故に遭い,いわゆるムチウチの症状が出たため通院していました。治療が終了(症状固定)しましたが,まだ痛みが残っています。今後はどのようにすればいいでしょうか。

 

A.治療終了後(症状固定後)もムチウチによる痛みが残っているのであれば,後遺障害として認定を受ける必要があります。後遺障害認定申請手続には〜蠎衒任意保険会社を通じて行う事前認定,被害者の側から直接自賠責保険会社に対して申請する被害者請求という方法があります。

いずれの方法でも,まずは,医師に後遺障害診断書を作成してもらい,医療情報その他の必要書類を提出します。

後遺障害診断書作成にあたっては医師に完全に任せてしまうと,ムチウチの診断に必要な診断結果が記載されないことも有り得るので,弁護士などに相談しながら,〇故状況,■悖弌ぃ唯劭錨の画像所見,神経根誘発テスト・深部腱反射テスト・筋萎縮検査等の神経学的検査結果は最低限記載してもらうようにお願いするとよいでしょう。

また,申請の結果,後遺障害に非該当とされた場合であっても,異議を申立てることができます。異議の申立てには,例えば再度の検査結果を記載した診断書,医師の意見書など新しい医証を添付するとよいでしょう。

後遺障害(ムチウチ)が認定されると逸失利益,後遺症慰謝料が損害として相手方に請求できますので,治療終了後(症状固定後)も痛みが残るようであれば,そのまま放置せず,後遺障害認定手続をとることをお勧めします。

 

(平成27422日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


離婚と財産分与(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.結婚して30年の専業主婦です。夫と離婚することになりましたが,夫に将来支給される予定の退職金は財産分与の対象となりますか。

 

A.財産分与とは,当事者双方がその協力によって得た財産(民法7683項)を離婚する際又は離婚後に分けることをいいます。財産の名義は問いません。例えば夫の給与収入で自宅を夫名義で購入した場合,妻が専業主婦でも家事労働に従事して自宅の取得に協力・寄与したものとして,自宅は財産分与の対象となります。同様に預貯金,自動車,株式なども夫名義であっても双方の協力によって取得した財産であれば財産分与の対象となります。

将来支給される予定の退職金については,退職前の段階でも,将来支給される蓋然性が高ければ財産分与の対象となります。将来支給される蓋然性が高いと認められるかは,退職までの期間,職種,勤務先などを考慮して事案ごとに判断されます。

例えば,定年退職まで約8年の税務職員(国家公務員)の事案(名古屋高裁平成121220日判決)で財産分与が認められたことがあります。

具体的にあなたの夫の退職金が財産分与の対象となるかもケースバイケースですので,弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

(平成27113日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


相続と住宅ローン(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

 Q.両親名義になっている持家を将来相続することになりました。その家は両親がローンを組んで購入し,現在も支払中です。もし相続時にまだローンが残っていた場合はそのローンの支払も私達がするのでしょうか。

 

A.「相続」とは亡くなった方の財産一切を取得することです。この財産には,不動産・預貯金等の資産の他に借金等の負の財産も含まれます。ですから,相続により親の持家を取得した子は,親の借金である住宅ローンを返済しなければならない,というのが原則です。

 しかし,現在では多くの金融機関において,個人宅の住宅ローンを組む際には「団体信用生命保険」の加入を条件としています。「団体信用生命保険」とは,住宅ローンの返済途中で本人が死亡又は高度障害になった場合に,本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残高を支払うという保険です。ですから,親が亡くなった場合でも,相続人である子がローンを支払う必要はない,とのケースが多いです。

 なお,消費者金融からのキャッシングやクレジットカード利用分(ショッピング),事業資金の借入金等住宅ローン以外の借金も相続対象になりますが,債務を含めて一切の財産の相続を拒否する「相続放棄」という制度を利用すれば,借金の支払をしなくてもよくなります。

 

 (平成26921日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


交通事故と消滅時効(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.交通事故に遭い,現在も通院中です。後遺症が残るかはまだわかりません。加害者は早期の示談を希望していますが,私は通院が終了してからと思っています。示談しないまま時間が経過してしまうと‖山嫁綵請求権や⊆賠責保険金請求権は時効で消滅してしまうのでしょうか。

 

A.交通事故による_坦下圓紡个垢訛山嫁綵請求権も,⊆賠責保険金請求権も一定期間内に権利行使しないと時効により消滅してしまいます。

_坦下圓紡个垢訛山嫁綵請求権は,一般的には事故日から3年(ただし,死亡の場合は死亡日から3年,後遺障害の場合は症状固定時から3年)で時効消滅します。

時効の進行を止めるには,訴訟提起・支払督促申立などにより時効を中断する必要があります。加害者に債務承認の念書をもらったり,賠償金の一部弁済を受けるなどしても時効は中断します。

⊆賠責保険金請求権(被害者請求)は,事故日から3年(ただし,死亡の場合は死亡日から3年,後遺障害の場合は症状固定時から3年)で時効消滅します(平成22年4月1日以降発生の事故。同年3月31日以前に発生した事故については2年で時効消滅)。

自賠責保険金請求権については,保険会社に 「時効中断承認申請書 」を提出し,承認を得ることにより時効を中断できます。なお,時効になってしまうと後遺障害等級認定の機会も失ってしまうのでご注意ください。

 

(平成26624日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


老朽化を理由とした退去交渉(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.アパート経営をしている大家です。アパートの老朽化が進み,建て替えを考えています。入居者に退去してもらうにはどうすればいいでしょうか。

 

A.入居者は賃貸借契約に基づき居住しているのですから,退去してもらうには契約の終了が必要です。立退料の支払,移転先の提供などを条件とすれば交渉で合意解約に応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。

合意解約ができなければ,賃料の不払や用法違反など債務不履行による契約解除が認められる場合を除き,貸主から契約の更新拒絶や解約をすることになりますが,更新拒絶又は解約が認められるには正当事由の存在が必要です。

この正当事由の存否は賃貸人・賃借人それぞれの建物使用の必要性,従前の経過,建物の利用状況・現況,立退料などを総合的に考慮して判断されます(借地借家法28条)。

ご質問の件のような老朽化に伴う建物建替えの必要性は一般的に正当事由の存在を基礎づける方向の事情となります。しかし,老朽化といっても朽廃に近いものか,防災上危険なものか,修繕可能なものかなど様々ですので,直ちに正当事由が存在すると判断されるわけではありません。結局は前記の事情を総合的に考慮して事例ごとに正当事由の存否が判断されることとなりますので,専門家にご相談されることをお勧めします。

 

(平成26318日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨)


相続と預貯金口座の名義人(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q.父が亡くなりました。相続人は母と私の2人です。父は生前,母名義の銀行口座に預金をしていました。この預金は遺産分割の対象とされるのでしょうか。

 

A.家族名義の預金であっても,実質的に被相続人に帰属していたと評価される場合には,その預金は相続財産として遺産分割の対象となるとともに相続税課税対象にもなります。

実質的に被相続人に帰属していたと評価されるかは,現実に出捐した者,口座開設者,通帳,カード,届出印などの管理利用状況,名義人の認識などが考慮されます。

ご質問のケースでも,上記を考慮した結果,実質的に被相続人に帰属していたものと評価されれば,お父様の財産として遺産分割の対象となります。

これに対し,実質的にも名義人に帰属していたものと評価される場合は,お母様の財産ですので,遺産分割の対象にはなりません。

ただし,この場合でもお父様からお母様に対して贈与があったと認められるときには,特別受益として持ち戻しの対象となる可能性があります。

なお,共同相続人間の協議でその預金を名義人の財産として扱い,遺産分割の対象としないことを合意したとしても,実質的に被相続人に帰属していると判断されてしまえば,相続税との関係では相続財産として相続税課税対象となりますのでご注意ください。

 

(平成251217日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


売掛金の回収(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

 Q.中小企業経営者です。取引先が納入した商品の代金を支払いません。売掛金の回収はどのように進めたらよいでしょうか。

 

A.売掛金の請求方法は,電話,面談,手紙等どんな方法でも構いません。ただ,交渉が決裂した場合に備え,交渉経過を証拠に残すことを意識した方がよいでしょう。内容証明郵便で請求した場合,相手方に催告したことの証拠になり,時効の中断・契約の解除・遅延損害金の発生等の法的効果が発生したことを証明できます。相手方に届いたことを証明するため配達証明付で送るとよいでしょう。

交渉が決裂した場合,訴訟を行うのが通常ですが,簡易裁判所での支払督促や少額訴訟といった手続もあります。第三者機関を介入させ話会いを継続することが有益な場合も考えられます(裁判所の民事調停,弁護士会の紛争解決センター)。

訴訟の結果,相手方に支払を命じる判決が下されても判決に従わない場合,強制執行により相手方の財産(不動産,動産,預貯金,売掛金・貸金等)から回収します。

ただ,訴訟提起・強制執行までの間に,相手方が財産を処分してしまうおそれがある場合,先に仮差押・仮処分を行います。仮差押・仮処分を受けると相手方の事業に影響が生じることも多く,その解除を求め支払に応じることがあります。

売掛金回収のためには,普段から相手方の資産,取引口座,取引先等の情報を把握するよう心がけておくとよいでしょう。また,適切かつ迅速に売掛金の回収を行うため,専門家である弁護士にお早めにご相談下さい。

 

(平成25924日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


交通事故の後遺障害(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q. 交通事故に遭い後遺障害で一生車椅子が必要な生活になるかもしれません。車椅子の費用や自宅・自動車改造費を加害者に請求できますか。

A.車椅子は後遺障害により失われた身体機能を補助するものですので,その購入費用は損害として認められ加害者に請求できます。実際に購入したものだけでなく将来必要となる分についても損害として認められます。

また,後遺症によって歩行が不可能になった場合,通常は,自宅の改造(出入口,風呂・トイレの改造,スロープ,リフトの設置など)および自動車の車椅子仕様への改造や買替が必要になります。この改造費・買替費用については必要かつ相当な範囲で加害者に請求できます。

実際にどの程度の費用を請求できるかは,後遺障害の状況と具体的な工事・改造の内容によります。裁判例では後遺障害1級で両下肢完全麻痺等の被害者に対して,住宅改造費として1000万円を認めた例,同じく後遺障害1級で四肢麻痺等の被害者に対して,自宅改造費として930万円,車両購入費として111万円を認めた例などがあります。

なお,後遺障害については他に逸失利益(労働能力喪失による将来収入減少分)や慰謝料等を請求することになります。

(平成25625日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


相続と特別受益(中日新聞尾張版掲載 「暮らしの法律相談」)

Q. 父が亡くなり兄と私が相続することになりました。兄はかつて家を建てるために父から土地と資金の援助を受けています。こういった贈与は相続でどう扱われるのでしょうか?



A.相続財産(遺産)は、被相続人が亡くなった時点で所有していた財産だけが対象になるわけではありません。相続人の中に,被相続人から遺贈を受ける者や生前に被相続人から婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与を受けた者(=特別受益者)がいるときは、相続が開始された時に被相続人が有していた財産に、遺贈や贈与の価額を足したものを相続財産とみなします。

 特別受益にあたるかどうかは、被相続人の資産、収入、家族状況から実質的に判断して、遺産の前渡しと評価されるか否かにより決せられます。

 本件では,自宅建築のための土地及び資金の援助であり、ある程度まとまった価額の贈与だと考えられますので、特別受益と認められることが多いでしょう。特別受益と認められる場合には、それも相続財産とみなした上で、各相続人の相続分を計算することになります。(平成2526日中日新聞全尾張版「暮らしの法律相談」掲載,執筆担当:弁護士野村一磨


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